島根県 漁業 開業27年
漁業という生業は、自然との対話で成り立っています。魚の群れの動きも、潮の流れも、水温も、そして天候すらも、私たちの思い通りにはなりません。私の家は代々漁師で、私も十代の頃から船に乗り、いまでは小さな漁業会社を切り盛りしています。経験を重ねれば海の表情を読み取る勘は研ぎ澄まされていくものの、昨今の気候変動による水温の変化には正直、戸惑うばかりです。
これまではこの時期に獲れていたはずの魚が、ある年はまったく姿を現さず、代わりに見慣れない種類が網にかかることも増えました。魚の生態が変化しているという実感は日々強くなっており、これまでの常識が通用しなくなってきていると感じています。当然ながら、水揚げ量にも大きく波が出るようになり、経営の不安定さが増してきました。
そんな中で、もう一つ大きな悩みの種となっているのが、燃料代の高騰です。漁船は言うまでもなく、燃料なくして動かすことはできません。一度沖に出れば、何十キロも走って漁場までたどり着くことになります。以前なら気にせず出せていた距離も、今では燃料代を計算してからでなければ動けないほどです。燃料価格の高騰はじわじわと、しかし確実に私たちの首を絞めてきました。
この数年で、漁具の買い替えも重なり、まとまった出費が必要になるタイミングがありました。漁具の更新や修理には、一度に百万円以上の費用がかかることもあります。そのような時、安定した収入があるとはいえ、毎月の水揚げに波がある以上、すぐに現金を準備するのは難しいことがあります。
そんな状況を支えてくれているのが、『中小企業ビジネスサポーターズ』さんの存在です。売掛金を資金として前倒しで受け取ることで、急な出費にも対応できるようになりました。初めて利用したときには、やはり少しの不安もありました。売上を“前借り”するような感覚に戸惑いもありましたが、実際に使ってみると、思いのほかスムーズに手続きが進み、資金繰りの負担が大きく軽減されたのです。
今では、季節や状況に応じて、必要な時に定期的に利用するようになりました。水揚げが少ない日が続いた場合でも、支払いや燃料の補充に対応できる体制が整っていなければ、次の出漁すらできません。ファクタリングは、そうした資金の“谷間”を埋めてくれる心強い存在です。もちろん、手数料は発生しますが、それによって事業を止めずに継続できると考えれば、必要経費と割り切ることもできます。
燃料代、資材費、そして気候による水揚げ量の不安定さ。漁業を取り巻く環境は決して甘くありません。けれど、それでも海に出るたびに、自然の大きさに触れ、自分の生きている実感を味わえるこの仕事を、私は誇りに思っています。そして、どんなに厳しい状況であっても、それに対応できる手段を持っていれば、乗り越えられることもあるのだと、ファクタリングを通じて実感するようになりました。
将来的には、設備の省エネ化や、共同での燃料仕入れなど、コスト削減の取り組みも進めていくつもりです。しかし、それには時間と準備が必要です。その間も、私たちは漁に出なければなりません。自然と向き合い、時に翻弄されながらも、漁師という道を歩み続けるには、柔軟な資金運用が不可欠なのです。
ファクタリングは私にとって、漁業という不安定な業種を支える、ひとつの大切な手段となっています。何が起こるかわからない海で、それでも舵を取り続けるために、私はこれからも必要に応じてこの方法を活用していくつもりです。海がある限り、魚が泳ぐ限り、そしてそれを届ける使命を感じている限り、私の漁は続きます。その一助として、ファクタリングが寄り添ってくれていることに、今は素直に感謝しています。
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