小さな旅行代理店で銀行融資も断られていましたがファクタリングで資金調達できました。

新潟県 旅行代理店業 創業32年

長年、地域に根ざして営業を続けてきた私たちの旅行代理店は、大手とは違う地元ならではの細やかなサービスを強みにしていました。グルメや温泉を楽しむ日帰りバス旅行、地元の方々の信仰心に寄り添うお寺の本山参り。
どれも、馴染みのお客様に喜ばれるツアーばかりです。

しかし、コロナ禍が訪れたとき、その安定した日常は一変しました。緊急事態宣言や行動制限でツアーは次々に中止。キャンセルの対応に追われ、バス会社や旅館への補償費用もかさみました。感染拡大が落ち着いた後も、お客様の外出への不安は消えず、ツアーの参加者はなかなか戻りませんでした。それでも、地元の方々が再び旅行を楽しめる日を信じ、細々と営業を続けてきました。

ところが、ようやくコロナが落ち着いたと思った矢先、今度は物価高が私たちを苦しめました。燃料費は高騰し、バスのレンタル料や食事代、宿泊施設の料金まで軒並み値上がり。ツアー料金を値上げすればお客様は離れてしまう。しかし、これ以上の値上げを抑えれば、利益はほとんど残らない。そんな状況が続き、資金繰りは日に日に厳しくなっていきました。

このままでは、次のシーズンの企画をするどころか、日々の支払いにも追われる状態。銀行にも相談しましたが、コロナ禍での業績悪化が響き、新たな融資は簡単には受けられませんでした。そこで、初めてファクタリングという方法を検討することにしました。

ファクタリングは、売掛金を買い取ってもらい、早期に現金化する仕組みです。私たちのような小規模事業者にとって、すぐに現金を確保できる点が大きなメリットでした。幸い、お寺の本山参りの団体ツアーが買い取れるという話から、その売掛金を活用することができました。

初めての手続きに不安もありましたが、審査はスムーズに進み、無事に資金を調達。これにより、次のツアーの準備に必要な費用を確保し、何とか運営を続けることができました。

しかし、もちろんこれで根本的な問題が解決したわけではありません。今後の経営を立て直すためには、新たな戦略が必要でした。従来の顧客層は固定化され、高齢化が進んでいます。このままでは数年後にはさらにツアー参加者が減少する可能性がある。そこで、新たに若年層や働き盛りの世代に向けた「週末リフレッシュ日帰りツアー」などを企画し、販路の拡大を模索することにしました。

また、地域の観光資源を見直し、温泉やグルメだけでなく、地元の文化体験やアクティビティを組み合わせたツアーの開発にも着手しました。こうした試みが成功すれば、より多くの方々に興味を持ってもらい、リピーターの拡大につながるかもしれません。

経営の厳しさは依然として続いていますが、ファクタリングを利用したことで、一時的な資金繰りの危機を乗り越えることができました。そして、これをきっかけに事業の方向性を見直し、新たな取り組みに挑戦する勇気を持てたことは、何よりの収穫でした。

旅行業界は厳しい状況が続いていますが、私たちはこれからも地域に根ざし、地元の方々に喜ばれる旅を提供していきたいと考えています。

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