石川県 出版業 創業15年
フリーペーパーの発行を始めてから15年が経ちました。これまで地域に密着した情報を届けることを使命とし、地元企業の広告を掲載することで運営を続けてきました。しかし、近年は地方経済の低迷により、広告出稿を控える企業が増え、資金繰りが厳しくなっています。以前は積極的に広告を出してくださっていた飲食店や小売店も、経費削減のために広告費を見直し、SNSを活用した宣伝にシフトするようになりました。
毎月の発行を維持するためには、一定の広告収入が必要ですが、それがなかなか確保できず、資金繰りに頭を悩ませる日々が続いています。これまではなんとかやりくりしてきたものの、ついに銀行融資の審査に通らず、今後の経営に大きな不安を感じていました。
そんなとき、知人からファクタリングの話を聞きました。初めてその仕組みを知り、売掛金を早めに資金化できるという点に魅力を感じました。将来的に入る予定の広告収入を前倒しで受け取ることで、新しい事業に投資することができます。今の状況を打開するにはこの方法しかないと思い、すぐに申し込みを決めました。
調達した資金の使い道は、WEBメディアの立ち上げです。紙媒体の広告収入が減少する中で、インターネットを活用した新たな収益モデルを作らなければならないと考えていました。地域の情報を発信するサイトを作り、地元企業の魅力を動画や記事で紹介し、それをもとに新たな広告収入を得る計画です。紙媒体だけに依存せず、デジタルメディアを活用することで、フリーペーパー事業の補完として収益を生み出せるのではないかと期待しています。
しかし、資金を確保したとはいえ、不安は尽きませんでした。ファクタリングは融資ではなく、将来の売上を先に受け取る仕組みです。そのため、現在の資金繰りは一時的に改善されても、将来的な入金は減ってしまいます。WEBメディアが軌道に乗り、安定した広告収入を確保できるまでの間、どのように資金を回していくかが大きな課題でした。
また、サイトの開設には想定以上の時間と費用がかかり、コンテンツを充実させるためには人手も必要でした。WEB広告の営業も始めましたが、紙媒体の広告とは仕組みが異なり、価格設定や運用方法など学ぶべきことが多く、なかなか契約が取れませんでした。
そこで、別の収益源を確保するために、これまで培ってきたデザインの技術を活かし、デザイン単体の注文を請け負うことにしました。フリーペーパーの割り付けとは異なるスキルが求められましたが、徐々に案件も増え、少しずつですが資金繰りの不安が軽減されてきました。
今回、初めてファクタリングを利用しましたが、その選択が正しかったかどうかは、まだわかりません。ただ一つ言えるのは、ファクタリングを利用したことで、新しい挑戦をするきっかけが得られたということです。もしWEBメディアが成功しなければ、単に将来の売上を前倒しで使っただけになり、さらに苦しい状況に陥ってしまいます。しかし、あのとき資金を得られたからこそ、次の一手を打つことができました。
今もまだ不安はありますが、WEBメディアは少しずつ形になり始めています。地元企業や観光地を取材し、記事や動画を発信することで、新しい広告の形が見えつつあります。この取り組みが成功すれば、フリーペーパー事業と並行して、新たな収益の柱となるかもしれません。道のりは長いですが、今できることを一つずつ積み重ね、事業の継続に向けて努力していきたいと思います。
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