価格競争な中、資材高と人材難に悩むローコスト住宅メーカー

住宅販売 埼玉県 創業15年

新築一戸建ての販売を手がける当社は、創業以来「ローコスト住宅」を提供し、多くのご家庭に新たな住まいを届けてきました。しかしここ数年、住宅業界を取り巻く環境は大きく変わり、当社も経営の難しさを痛感する場面が増えてきています。

特に深刻なのが、ウッドショックの影響を引きずったまま続く建材価格の高騰です。木材だけでなく、住宅建築に必要なさまざまな部材が値上がりし、資材調達のコストが圧迫されています。さらに、人材不足の問題も大きく、経験豊富な職人が減り、若手の確保が難しくなっています。この状況のなか、当社が得意としていた「低価格での住宅提供」が厳しさを増し、資金繰りに頭を悩ませる日々が続いていました。

そんななか、新たな市場として注目したのが「高齢者の建て替え需要」でした。日本では高齢化が進み、老後の暮らしを考えて住み替えを検討するシニア層が増えています。そこで、当社は「コンパクトな平屋のバリアフリー住宅」の開発に着手しました。段差をなくしたフルフラット設計、手すりを標準装備した安心設計に加え、ウッドデッキを設けることで縁側のような心地よい空間を演出。シニアの方々が暮らしやすい住まいを提供することで、新たな需要を開拓できるのではないかと考えました。

しかし、新たな取り組みには当然ながら資金が必要になります。住宅の建築にはまとまった資金が動くため、資材費や職人の人件費などの支払いは避けられません。通常であれば、完成後にお客様からの支払いがあるのですが、現場の着工を進めるためには先にコストがかかります。そこに追い打ちをかけるように、既存の案件の工事が遅れた影響で、一時的に資金繰りが厳しくなりました。このままでは新しい住宅の販売計画が頓挫しかねない。そこで、『中小企業ビジネスサポーターズ』桟を知り初めてファクタリングを活用することを決断しました。

今回は、すでに施工が進んでいる案件の売掛金を早期に現金化することで、資金の流動性を確保することにしました。ファクタリングの手続きを進めるなかで、当社のような建築業者の資金調達に適していることがよくわかりました。通常、工事が完了してから入金されるまでには一定の期間があり、その間の資金繰りが問題となることがあります。しかし、売掛金を先に現金化できることで、建材の仕入れや職人の給与の支払いが滞ることなく、計画どおりに工事を進めることができました。

加えて、今回は高齢者向け住宅のプロモーションにも資金を充てることができました。これまでの住宅販売はウェブ広告を中心に展開していましたが、高齢者の方々に情報を届けるために、折込チラシや地域のフリーペーパーを活用する方針に変更。その広告費用を確保できたことで、問い合わせ件数も増え、新たな顧客層へのアプローチが実現しました。

もちろん、ファクタリングは資金繰りを根本的に解決する手段ではありません。継続的に活用するには手数料も考慮しなければなりませんし、安易に頼りすぎると経営を圧迫する可能性もあります。しかし、今回のように一時的な資金ショートを防ぎ、事業を前に進めるための手段としては有効であることを実感しました。

現在、新しいバリアフリー住宅の受注も増え、当社は新たな方向性を確立しつつあります。競争の激しいローコスト住宅市場において、「高齢者向け住宅」という新たな強みを持つことで、価格競争だけに巻き込まれない独自のポジションを築くことができそうです。

建築業界はこれからも厳しい状況が続くでしょう。しかし、資金調達の方法を柔軟に考えながら、新しい需要を取り込み、時代の変化に適応していくことで、当社の成長につなげていきたいと考えています。

お寄せいただいた体験談は、お客様が特定できないことを目的に、若干の修正をしております。改変に当たり文章の意図は変えておりませんので、ご理解ください。