静岡県 飲食料品小売業 創業34年
仕出し弁当業を営んで三十年余り。これまで地域の法要や慶事、会議の席などに弁当を届け、多くのお客様に支えられてきた。しかし、ここ数年の変化はあまりにも急せした。
まず、物価の上昇が経営に大きな影を落としている。特に米の価格が高騰したことは痛手でした。当店の弁当は質の良い国産米を使っているが、これまでの仕入れ価格のままでは利益を確保することが難しくなってきました。さらに、魚や野菜、調味料などの仕入れ価格も軒並み上がり、人件費の上昇も経営を圧迫する要因となりました。
それに加えて、法要の簡素化が進んでいることも打撃で、かつては、親族が集まり手厚く供養を行う場に仕出し弁当は欠かせなかった。しかし最近では、参列者を最小限に抑える流れが加速し、大口注文が減少しています。慶事についても同様で、宴席を設けず家族だけで済ませるケースが増え、今まで安定していた売上が徐々に目減りしていることに、私たちも危機感を抱かざるを得なかった。
経費削減を進めることは当然ですか、材料については品質が下がり、長年のお客様の期待を裏切ることになるため手を付けれません。価格改定も行いましたが、沿おう何度も値上げができるものではありません。地域密着型の商売ゆえ、慎重に進めなければならない事情があります。
そんな中、新しい市場を開拓しなければならないと考え、観光客向けの弁当販売を模索し始めました。近隣には観光地があり、インバウンド需要が回復傾向にあることも追い風となるかもしれない。外国人観光客に向けた和食弁当の開発や、宿泊施設との提携を模索することで、新たな売上を確保できる可能性があります。
しかし、新しい取り組みには資金が必要です。飲食スペースの確保や観光客向けにPRを行うための広告費、新メニュー開発のための食材仕入れ、さらには専用のパッケージの導入など、今までとは異なる出費がかさんでしまいます。もともとの経費増加に加えて、これらの支出を考えると、運転資金が厳しくなるのは明白です。
銀行融資も検討したが、審査には時間がかかる。すぐにでも新しい市場開拓を進める必要があるため、迅速に資金を確保できる方法を探していたところ、「ファクタリング」という手段を知った。
ファクタリングは、売掛金を現金化する仕組みだと聞き、早速問い合わせてみました。初めての利用で不安もあったが、手続きは想像以上にスムーズでした。必要書類を揃え、売掛金の買取審査を受けたところ、無事に承認が下りた。こうして、数日後にはまとまった資金を手にすることができました。
この資金をもとに、まずは観光客向けの販路開拓に着手するため、宿泊施設や旅行代理店への営業を行うこととし、試験的に観光地での飲食の許可をもらい弁当販売を開始。手応えは悪くありませんでした。特に海外からの旅行者は、手軽に楽しめる和食を求めており、当店の弁当が受け入れられる可能性を感じました。
ファクタリングを利用したことで、新しい市場への挑戦が実現できたことは大きいです。もし従来の方法にこだわり、資金調達の手段を広げなかったら、今頃は経費の増加に頭を抱えながら、次の一手を打てずにいたかもしれない。もちろん、ファクタリングは万能ではありません。手数料のコストもあるため、長期的に見れば別の資金調達方法も視野に入れる必要があります。しかし、今回のようなタイミングで迅速に資金を確保できる手段として、非常に有効だったと感じています。
今後は、観光向け市場をさらに拡大しつつ、地域の固定客も大切にしながら、より持続可能な経営を目指したい。時代の変化に対応しながら、どのようにして生き残っていくのか。これからの仕出し弁当業は、より柔軟な発想と挑戦が求められる時代になったのだと実感しています。
お寄せいただいた体験談は、お客様が特定できないことを目的に、若干の修正をしております。改変に当たり文章の意図は変えておりませんので、ご理解ください。