栃木県 木材加工業 創業25年
プレカット工場を引き継いで25年になります。もともとは父がやっていた木材加工業で、大工の世界で育ったようなものですが、今はプレカットが当たり前になってきた時代。うちも手刻みからプレカット機に変えたのを機に、近隣の工務店や材木屋から安定して注文をもらえるようになっていました。
ところが、ここ数年は商売がきつい。ウッドショックの頃から仕入れが急に読めなくなり、材料が取れても値が張ります。外国材に加えて国産材も値上がりし、当時の価格で出していた見積りでは利益が出ません。ようやく単価も落ち着いてきたとはいえ、今度は不景気の影響か、現場の数が減ってきている印象があります。なにより、建て主の動きが鈍いことが問題です。特に注文住宅の案件は、ローンの金利の話もあってか、年が明けてからはめっきり減りました。
加工場としては、工務店や元請から受ける仕事の支払いサイトが長いのも地味にきついところです。月末締めの翌々月払い。仕事はしても入金は遅い、でも材料代は即金で払わないといけない。加えて、冬場はどうしても工事が減るので、受注も抑え気味になります。例年の流れなので構えてはいましたが、今年はちょっと様子が違いました。
大きめの案件が二件連続してキャンセルになり、仕入れた材料もだいぶ抱えることになってしまいました。そのうち一件は、棟上げ直前で止まった現場です。注文者が急に資金が足りないと引っ込んでしまったようで、もうどうしようもありませんでした。
固定費もそれなりにあります。プレカットの設備はローンもあるし、従業員も数人抱えている。加工機のメンテもかかるし、トラックの更新も先送りしている状態で、出ていくものばかりです。いったん資金を回収してから動こうと思っていた分もあって、先延ばしにしてきた支払いが、いよいよ重なってしまいました。
どうにか短期で回せないかと考えて、相談したのがファクタリングです。業者を調べて、近場ではなかったけれど電話で相談できるところに資料を送りました。売掛先は地場の工務店や材木屋が中心。そこまで大きくない会社ばかりなので、査定が通るか不安でしたが、思っていたより対応は早かったです。
結局、120万円分の請求書を売却して、手元に入ったのが108万円ほど。手数料は約10%。思っていたより高いと感じましたが、振込までのスピードや対応は丁寧で、なにより今すぐ現金が必要な場面では助かりました。本音を言えば、あまり繰り返し使いたい方法ではありません。ただ、短期の資金需要には本当に助かると思いました。材料費が高騰している今、現金仕入れを条件にしている製材所も多く、キャッシュがあれば値段の交渉も多少はできる。そう考えれば、多少手数料を払っても、結果的には得になることもあります。
今回の経験で、資金繰りの組み立て方を改めて見直しました。現場の仕事量に波がある以上、内部留保や資金繰りの余裕がどれだけ大事か、身にしみました。ファクタリングは最後の手段と思っていたけれど、いざというときの選択肢として持っておくのは悪くないと思います。
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