個人客ばかりでも電子決済分をファクタリングして窮地を脱出

東京都 飲食業 創業15年

鉄板焼きの店を始めて十年を超えます。観光地の一角で、夜営業のみ。カウンター8席と小上がりが1卓だけの小さな店ですが、ありがたいことに常連さんにも恵まれ、なんとか細々とやってこれました。ただ、ここ2~3年は、かなり厳しくなってきました。コロナのときは補助金があった分、まだ見通しが立ちましたが、その後の物価高騰が想像以上でした。輸入牛は年々高くなり、キャベツやネギまで高騰。鉄板焼きの魅力は素材の良さと調理の臨場感ですが、素材の質を落とせば一発で客足は遠のきます。かといって、そう簡単に値上げもできない。
さらに追い打ちをかけるように、不景気で外食自体を控える人が増えたのか、客入りは目に見えて減りました。週末でも満席にならず、平日は空席が目立つことも珍しくなくなりました。

ある月の中頃、支払日が重なり、仕入れと光熱費の引き落としに不安が出てきました。カードのリボ払いは使いたくなかったし、銀行の融資も時間がかかる。どうにか今月だけ乗り越えたい、そう思っていろいろ調べているうちに出てきたのが「ファクタリング」という言葉でした。最初は建設業や運送業のように「売掛」がある業種の話だと思っていました。けれど、ウチのような飲食業でも、クレジットや電子決済の管理画面があれば、ファクタリングの対象になると知り、少し光が見えました。

量は多くありませんが、最近はPEYの決済も増え請求額は月35万円前後。この売掛金をもとに資金調達できるということで、初めてファクタリング会社に問い合わせをしました。手続きは思っていたよりもスムーズで、必要書類もすぐに用意できました。売掛先には通知がいかない2社間契約だったため、取引先との関係に影響する心配もありませんでした。手数料は高めでしたが、翌日には9割近い金額が入金され、なんとか今月の支払いを無事に乗り切ることができました。
その後、何とか営業を立て直そうと、ランチ営業を試してみたり、コース料理に飲み放題を加えたりと工夫を重ねました。SNSの更新もまめに行うようにし、徐々に新しいお客さんも増え始めています。あの一時の資金ショートを乗り越えられなければ、店の信用は失われ、今の流れもつくれなかったかもしれません。

もちろん、ファクタリングは万能ではありません。売掛金があることが前提ですし、手数料も安くはありません。ただ、きちんと使いどころを見極めれば、小さな飲食店にとっても十分に選択肢になると感じました。

今はもう利用していませんが、あのとき背中を押してくれたことには感謝しています。

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