広島県 家具製造業 創業61年
父の代から続く工房で、私が二代目になります。量産品とは違う、無垢材を使った一点物の注文家具が主で、地元の設計士さんやリフォーム業者さんとつながりがあり、長くお付き合いさせてもらっています。婚礼家具のような大型のものは減りましたが、テレビボードやダイニングテーブル、最近ではペット用のベッドや収納など、ニッチな依頼が増えている印象です。
父から仕事を引き継いでから、ずっと材料となる木材の扱い方にはとにかく気を使ってきました。無垢材は生きていて、伐ってすぐに使えば反るし割れます。だから私の工房では、10年、長いもので数十年の時間をかけて自然乾燥させています。すぐには売れない木ですが、将来の家具に命を吹き込むための準備です。
その分、回収は当然遅れます。乾かしているあいだも将来のために仕入れは続けなければなりません。
工房の資金繰りは年々厳しくなっていました。大口の注文が入っても納品までに半年以上かかることも珍しくなく、手元の資金はどうしても細くなります。原材料費の高騰、輸送費や道具のメンテナンス、職人への支払い。目の前の現金が足りないとき、初めてファクタリングという言葉を調べました。
半信半疑でしたが、まずは電話で相談してみると、話はすぐに進みました。大きな家具店からの売掛金を買い取ってもらい、数日で資金が手元に入りました。借金とは違う形で現金化できるのはありがたかったです。長く待つつもりだった代金が、すぐに木の仕入れに回せました。ちょうど狙っていた材料が市場に出たときで、迷わず押さえられたのは大きかったです。
もちろん、手数料はかかりますし、毎回使えるものでもありません。ただ、未来の品質を確保するために、背中を押してくれる手段だと感じました。ファクタリングを知って、時間と品質に正直なものづくりが少し楽になった気がします。あのとき手に入れた木材を製剤した時にどんな板になって、どんな家具に生まれ変わるのか、いまから楽しみにしています。
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