東京都 IT関連 創業10年
システム開発の仕事を始めて十数年になります。これまでは下請けの細かい案件を請けながら経験を積んできましたが、最近は業務管理を一括でこなせるパッケージをOEMとして提供し、クライアントごとにカスタマイズする形で納品しています。在庫管理や勤怠、給与計算、営業報告などをひとつのシステムにまとめて運用できる内容で、製造業や物流系の中小企業に多く採用されています。
機能を詰め込みすぎると重くなるし、かといって分けすぎても使い勝手が悪くなる。そのバランスに悩みながら、少しずつ今の形にしてきました。こうしたシステムは一度開発すれば終わりではなく、使い始めてからの要望対応やアップデートに追われることになります。その都度開発が発生し、工数も読みにくくなっていきます。
とはいえ、最近は営業面で多少の追い風も感じています。導入時にクライアントが補助金の申請を行えば、システム導入費用の一部が支給対象になる仕組みがあるため、決断の後押しになっているのです。「補助が出るなら、このタイミングで一気に入れ替えよう」という企業が少なくなく、当社にとっても導入までのリードタイムが短くなる効果がありました。
ただ、それもあくまで“導入されれば”の話で、こちらの資金繰りには直接影響しません。開発の初期段階では人員を一時的に増やしたり、外注に投げたりする必要がありました。納品して請求してから実際に入金されるまでに時間がかかるので、常に先出しが続く状態です。とくにベースとなるシステムを整備していた頃は、売上の見込みは立っているのに現金がまったく足りないということが続いていました。
そのタイミングで使い始めたのがファクタリングでした。銀行からの借入では間に合わない短期の支払いを、請求書ベースで現金化できるのは本当に助かりました。最初は単発での利用でしたが、今では月に一度の定期的な利用に変わっています。正直なところ、開発の手を止めずに済んだのはファクタリングのおかげだと思っています。
もちろん手数料はかかります。ただ、今のように請求ベースの売上が増えてきた状況では、ある程度見込みをもって活用できますし、資金調達のために営業を止めたり、人を減らしたりするよりはずっと現実的です。
今もファクタリングは継続していますが、ようやく毎月の利益の一部を社内に残せるようになってきました。このまま受注が続けば、あと半年ほどでファクタリングからは抜けられる見通しです。補助金を活用するクライアントも増え、OEM先の営業活動も安定してきました。今後はリースや分割対応も視野に入れ、キャッシュフローを調整していくつもりです。
資金繰りの難しさはどんな業種でもありますが、とくに開発型のビジネスでは“着手してから回収するまでの時間差”が大きなリスクになります。そうした時間差を埋める手段として、ファクタリングは選択肢のひとつとして有効だと思います。抜け出すためには、まず使いながら耐える。その感覚がようやくつかめてきました。
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