福井県 創業28年 電気設備工事
電気工事の仕事を始めて、もう30年近くになります。もともとは親方に弟子入りして手元から始めたのですが、資格を取って独立してからは、戸建て住宅の新築現場を中心に請け負うようになりました。今は息子と二人でやっています。まだ若いですが、仕事の筋はいい。手も早いし、細かいところまで目が届く。そういうところは助かっています。
うちは電力会社の引き込みから、分電盤の設置、室内配線まで一貫してやるスタイルです。照明器具やコンセントの取り付けも全部こちらで対応しています。ハウスメーカーや工務店と直接契約しているので、現場が決まればそこそこまとまった仕事になります。ただし、入金は完工後の月末締め翌月末払い。現場によっては2ヶ月以上かかることもあります。
材料費はすべてこちら持ちです。電線や分電盤、スイッチ類などは、まとめて仕入れれば少しは単価が下がりますが、それでも先にお金が出ていくのは変わりません。息子が入ってからは現場を同時に二つ三つこなすようになり、出費もさらに増えました。
あるとき、ちょっとした現場のミスで再工事が発生し、予算を削られる形になったことがありました。仕入れた材料の一部が使えなくなって無駄になり、その月は赤字でした。ちょうど繁忙期にさしかかっていたこともあり、次の現場の仕入れ費用が足りなくなりました。
そういうときに知ったのがファクタリングです。最初は正直、あまり良い印象は持っていませんでした。でも、使ってみると案外実務的で、特に問題もなく資金が振り込まれました。売掛金を使って資金を前倒しするだけのことだとわかれば、考え方も少し変わってきます。
それ以来、忙しい時期には定期的に利用しています。無理のない範囲で、必要な額だけ現金化しています。息子にも一応話はしていますが、あまり深く突っ込んでこないので、そこはありがたいです。今はとにかく仕事を回すことが第一ですし、支払いの遅延だけは避けたい。材料屋に遅れれば、次の仕入れが難しくなりますから。
現場での事故や天候による遅延も、この仕事にはつきものです。すべてが計画通りに進むことはまずありません。だからこそ、資金の余裕が多少なりともあるだけで、精神的な負担はかなり違います。
いつかはファクタリングから卒業したいという思いもありますが、今のところは必要なツールとして割り切って使っています。会社にしていないのも、気楽さを優先してのことです。息子がもっと現場を任せられるようになったら、また違う形も考えるかもしれません。
家族でやっている小さな商売ですが、地道にやっていれば紹介も来ます。しんどい時期はありますが、それを乗り越える手段があるだけで、続ける気力は保てています。
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