千葉県 建設業 創業23年
ローコスト住宅の下請けをやるようになってから、工期の短さに追われる日々が続いています。うちは私を入れて3人の小さな工務店で、大工仕事を中心に個人宅の新築や改修を請け負っていますが、最近はローコスト住宅メーカーからの仕事がほとんど。坪単価は安いわりに工程はぎっちり詰まっていて、実入りを考える暇もないほど動いています。
スケジュールが決まってしまえば、あとはその通りに動くしかない。天候が崩れても、材料が遅れても、職人がつかまらなくても、引き渡しの日は延びない。それでも何とか帳尻を合わせてきました。ただ、資金繰りの方はそうもいきません。
下請けなので、元請けの支払いは完了から数か月後になることも多く、仕事をした分だけ手元が苦しくなる。材料費も高騰しているし、電動工具のバッテリーだって1個何万円もする。段取りを優先して先に仕入れをすれば、当然こちらの立替えが増える。資金が足りなくなった月は、定期的に使っているファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらって、支払いをつないでいます。
うちのような規模だと、銀行はなかなか話を聞いてくれない。かといってカードローンのような高利にも手を出したくない。今のファクタリングは2社間で、売掛先には知られずに済む。売掛債権を譲渡する代わりに、手数料を引かれた額がすぐに入金される仕組みです。もちろん安くはないけれど、職人の手配や材料調達に追われる現場で、いちいち資金繰りの綱渡りをしている暇はありません。
今、建材は少しでも安く仕入れるために複数ルートを確保していますが、価格は安定せず、予算の組み直しもしょっちゅうです。工期が短い分、下請けは泣くことが多い。でも手を抜けば次の仕事はない。それが現実です。
若い頃は自分の棟梁になるのが夢で、独立したときは嬉しかった。でも今は、どこまでやれば家族を食わせていけるか、日々の計算に追われています。ファクタリングも、ずっと頼り続けるわけにはいきません。少しずつでも現場ごとの利益を確保して、売掛金を売らなくて済む月を増やす。それが今の目標です。
先月、久しぶりに直接依頼の仕事が入りました。工期は多少余裕があって、価格もこちらの言い値で通った。やっぱり仕事はこうでなくちゃいけないと思いながら、現場に立つ背中に少しだけ力が入りました。
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