資金ショートをファクタリング利用で回避。しかし物価高にこの先も悩まされる。

富山県 食品製造業 食品卸業 創業21年

レトルト食品の開発と卸を始めて21年になります。最初はOEMで製造してくれる会社を探すのにも苦労しましたが、今は得意先も少しずつ増えて、安定した受注もあります。販路はスーパーやドラッグストア中心で、PBの開発もいくつか手がけています。レシピを作り、パッケージを整え、原材料を手配して、あとは委託先で製造してもらう。
そういう分業で成り立っている仕事です。ここ数年の物価上昇は、うちのような中小の食品卸にもじわじわ効いてきます。特に製造会社からの製造単価の引き上げ要請は、避けて通れない話でした。
最初は交渉してどうにか抑えていましたが、今年に入ってからは原材料も資材も光熱費も高騰していて、「このままじゃ製造が続けられない」と言われ、こちらも一部の製品で単価を上げる決断せざるをえませんでした。

ただ、販売価格を変えるには得意先との再交渉が必要です。先方もすぐには受け入れられず、単価を据え置いたまま一部の受注分は製造費が上がるという、いわば“赤字受注”の状態が数か月続きました。キャッシュの流れは遅れ、手元資金もどんどん目減りしていきます。
そのとき初めてファクタリングを利用しました。もともと銀行借入は枠いっぱいまで使っていましたし、追加の融資は時間もかかります。
すでに出荷済みで請求も済んでいる債権を現金化できると聞いて、数社に問い合わせ最終的に『中小企業ビジネスサポーターズ』さんにお願いしました。
最初は「そんなもの使って大丈夫なのか」という不安もありましたが、書類の整備と簡単なヒアリングで進めてもらえたのは助かりました。請求書と納品書、契約書の写し、そして通帳の入金履歴などを提出し、あとは審査結果を待つだけでした。
思ったよりもスムーズに進み、3日ほどで資金が着金したときには、本当に助かったという気持ちが強かったです。次の仕入れも遅れずに済みましたし、従業員への給与も滞らずに支払えました。一度ファクタリングを使ってからは、なるべく使わないよう意識しつつも、突発的な資金ショートのリスクを減らすため、数か月は継続的に使いました。その間に、得意先との価格改定交渉も進み、製造単価と売価のバランスも少しずつ回復していきました。

売掛先がしっかりしているからこそ、こういった資金調達ができるのだという実感もありました。うちは自社工場を持たず固定費は少ないですが、外注で回しているからこそ資金繰りはシビアです。利益があっても、キャッシュが足りなければ何もできません。その現実を突きつけられたような数か月でした。
今はもう、ファクタリングに頼らずに回せる状態に戻っています。けれど、あのときの判断が遅れていたら、納期遅れや信用失墜につながっていたかもしれません。無理に使う必要はありませんが、「選択肢がある」ということは、想像以上に心強いものです。あれ以来、資金繰りの見通しには以前より敏感になりましたし、月ごとのキャッシュフローも細かくチェックするようになりました。
危機を越えた今だからこそ言えますが、事業の成長には“資金の余裕”が必要です。そしてその余裕をつくるための手段を知っているかどうかが、続けていけるかどうかの分かれ道になるのだと思います。

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