設立間もない時期のファクタリング活用について
企業の設立初期は資金繰りが最も厳しい時期の一つです。新規の取引先を獲得し、事業を軌道に乗せるためには多くの資金が必要になりますが、銀行融資を受けるのは簡単ではありません。信用実績が乏しいことに加え、担保となる資産を持たない企業が多いため、金融機関の審査に通るのが難しいのです。そのような状況において、売掛金を資金化できるファクタリングは、有効な資金調達の手段となります。
特に、2社間ファクタリングは設立間もない企業にとって利用しやすい選択肢の一つです。3社間ファクタリングとは異なり、取引先に通知せずに資金調達ができるため、取引関係に影響を与える心配がありません。設立初期の企業は取引先との信頼関係を築くことが重要であり、売掛金の譲渡が取引先に知られると信用不安を抱かれる可能性があるため、2社間ファクタリングの方が適しているケースが多いのです。
しかし、2社間ファクタリングを利用する際には、いくつか注意すべき点もあります。まず、手数料が高いことが挙げられます。3社間ファクタリングに比べて、2社間ファクタリングはリスクが高いため、ファクタリング会社が設定する手数料も高くなります。設立初期の企業は資金繰りが不安定なことが多いため、手数料の負担が重くならないよう慎重に計算する必要があります。
また、ファクタリングの利用頻度にも注意が必要です。設立間もない企業は、短期間の資金不足を補うためにファクタリングを活用することがありますが、これが常態化すると資金繰りが悪化する原因となります。売掛金の先食いが続けば、将来的に資金が枯渇し、新たな資金調達手段を模索する必要に迫られる可能性があるのです。したがって、ファクタリングを一時的な資金調達手段とし、その間に安定した収益基盤を確立することが重要です。
さらに、信頼できるファクタリング会社を選ぶことも重要なポイントです。設立初期の企業は、資金繰りの厳しさから焦って契約を結んでしまうことがありますが、中には違法業者や悪質なファクタリング会社も存在します。例えば、手数料を不明瞭に設定し、実際に契約すると想定以上の負担が発生するケースや、債権譲渡登記を行いながらも取引先に通知を行わないと説明する業者などが挙げられます。契約内容をよく確認し、必要に応じて専門家の意見を聞くことが重要です。
設立初期の企業が2社間ファクタリングを活用する際には、以下のようなポイントを意識するとよいでしょう。
- 利用目的を明確にする
― 一時的な資金不足の解消なのか、それとも長期的な資金調達手段として活用するのかを考える。 - ファクタリング会社の選定を慎重に行う
― 手数料の相場を確認し、契約内容が適正かどうかを見極める。 - 資金繰り計画を立てる
― ファクタリングを利用した後、どのようにして安定した資金繰りを確保するのかを考える。 - 売掛先の信用力を確認する
― ファクタリング会社は売掛先の信用力を重視するため、売掛先がしっかりした企業であることを確認する。 - 長期的な視点を持つ
― ファクタリングだけに依存せず、銀行融資や補助金の活用も検討する。
設立間もない企業にとって、ファクタリングは有効な資金調達手段となりますが、長期的な経営戦略の中でどのように活用するかが重要です。一時的な資金不足を乗り越えるための手段として計画的に利用し、早期に安定した経営基盤を築くことが求められます。