補助金は事業者にとって貴重な資金源となるものの、申請から支給までに時間がかかることが一般的です。そのため、「補助金をファクタリングして早期に資金化できるのか？」という疑問を持つ事業者も多いでしょう。結論から言えば、補助金のファクタリングは基本的には難しいですが、特定の条件下では可能な場合もあります。
- 補助金がファクタリングに適さない理由
ファクタリングは、企業が保有する売掛金を金融機関やファクタリング会社に売却し、早期に資金を調達する仕組みです。しかし、補助金は売掛金とは性質が異なるため、一般的なファクタリングの対象にはなりません。その主な理由は以下のとおりです。
補助金は売掛金ではない：ファクタリングは売掛金（取引先に対する未回収の売上）を対象とするものですが、補助金は政府や自治体からの給付金であり、売上とはみなされません。
支給の確実性が低い：補助金は申請後に審査を経て支給されるため、申請が通らなかったり、予算の関係で支給が遅れる可能性があります。そのため、金融機関やファクタリング会社が「確実に回収できる資産」として評価しにくいのです。
譲渡禁止の可能性：多くの補助金には、第三者への譲渡が禁止されている規定があり、ファクタリング会社が補助金を買い取ることができません。
- 例外的に可能なケース
上記の理由から補助金のファクタリングは一般的ではありませんが、以下のような特定の条件が整えば、ファクタリングの活用が可能となるケースもあります。
補助金が確定している場合：審査が終了し、補助金の支給決定通知が届いている場合、将来的な入金が確実とみなされるため、一部のファクタリング会社が買い取る可能性があります。
補助金の入金先が売掛金と同じ口座である場合：企業の取引先が受け取る売掛金と補助金が同じ銀行口座に入金される場合、ファクタリング会社がその口座の入金を担保に融資を行うケースもあります。
特定の金融機関のサービスを利用する：一部の金融機関では、補助金が確定した企業向けに「補助金前払いサービス」などの形で資金提供を行う場合があります。
- 補助金を早期に資金化する他の方法
補助金を直接ファクタリングできない場合でも、以下のような方法で早期の資金調達が可能です。
つなぎ融資の活用：補助金の支給が確定している場合、銀行や金融機関が「つなぎ融資」として資金を提供するケースがあります。これは補助金の入金を担保にした短期融資の形態です。
助成金専用ローン：一部の金融機関では、補助金や助成金を前提とした専用のローンを提供しており、補助金の確定後に借り入れが可能です。
売掛金のファクタリング：補助金が対象外でも、企業が保有する売掛金をファクタリングすることで資金繰りを改善し、補助金の支給を待つ間の運転資金に充てることができます。
まとめ
結論として、補助金は原則としてファクタリングの対象にはなりません。しかし、補助金の支給が確定している場合や特定の金融機関が提供するサービスを利用することで、早期の資金化が可能なケースもあります。また、補助金を待つ間の資金繰りを改善するために、売掛金のファクタリングやつなぎ融資を活用するのも一つの方法です。事業資金の調達手段として、最適な方法を検討しながら、補助金の支給を有効に活用していくことが重要です。
