宮城県 青果卸売業 創業35年
私たちは青果を中心とした食料品の卸売業を営んでおり、毎朝4時から、フォークリフトを操作して働いています。地元の市場や農家から野菜や果物を仕入れ、学校給食や福祉施設、小売店などに納品しています。
かつては地域のスーパーにも数多く納めていましたが、この10年で状況は大きく変わりました。大手スーパーは、産地と直接契約を結ぶようになり、卸を通さずに農家や生産法人から商品を仕入れるのが主流になっています。
それだけでなく、生産者の側でもここ数年の生産コストの急激な上昇で「この品種は1ケース○円以下では出さない」といった形で指値をしてきます。市場価格より高くても売れる先があればそちらを優先されてしまい、結果として市場全体の価格が上昇しやすい構造になっています。
一方で、小売店は減る一方です。昔ながらの八百屋や個人商店の閉店が相次ぎ、残ったお店も人手が足りず、発注量も以前ほど多くありません。こちらも人員が足りず、少ない注文のためだけに配達に出せる体制ではないため、やむなく配達を断ると、今度はそれが原因で取引が切れてしまうという悪循環もあります。こうした中で安定しているのは、自治体の給食センターや保育園、老人福祉施設などです。需要が大きく変動せず、ある程度まとまった量を納品できます。ただし、公共契約ゆえに価格は厳しく、支払い条件も月末締めの翌々月払いなど、非常に長いのが実情です。
私たちの業務では、仕入れ時にすぐ現金が必要になる場面も多く、納品先からの入金をただ待っていては、運転資金が持ちません。人件費や燃料代、倉庫の維持費など固定の支出も多く、銀行融資だけで回すには不安が残ります。
そうした背景から、ファクタリングを導入しました。最初は単発での利用でしたが、今では特定の給食関係の請求書を、月に1〜2件ずつ定期的にファクタリング業者に売却しています。取引先には知られずに済む2社間方式で、請求書と納品書を提出すれば、翌営業日には入金される仕組みです。手数料は9%前後と決して安くはありませんが、支払いの遅延を避けられる安心感には代えられません
一度始めると「クセになる」と言う人もいますが、私たちは予算を決めて、使いすぎないようにしています。業者とも事前に打ち合わせを行い、来月の資金繰りの見通しや売却予定額を共有しています。必要なときに必要なだけ、という姿勢を崩さないよう気をつけています。
卸売業というのは、地味で泥臭い仕事です。早朝から品物をさばき、欠品やクレームが出ないよう細かく調整しながら、トラックを走らせます。納品が終わっても、午後からは翌日の仕入れ準備に追われ、気がつけば日が暮れています。派手さはないですが、地域の食を支える重要な役割だと思っています。
ファクタリングは、そうした現場を支える一つの資金手段として、現実的に欠かせない存在になりました。依存せず、あくまで補助的に使う。その線引きをきちんと守りながら、これからも事業を続けていければと考えています。
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