経費は上がるが、卸価格が上がらず。頑張りどころでファクタリングを利用。

山口県 水産養殖業 創業53年

私は親の代から続く養殖業を継ぎ、はまちの養殖を専門にしています。場所は瀬戸内海沿いの小さな町。天然物に比べて安定供給ができることもあり、取引先との関係も良好です。水温や餌の管理には手間も金もかかりますが、それでもここ十数年、なんとかやってきました。
ただ、ここ最近は事情が違います。飼料代が倍近くまで上がり、輸送コストや設備維持費までじわじわと増えてきています。
気候も読みづらくなり、病気のリスクも増えました。しかも、市場価格は思うように上がらない。はまち自体の需要はあるのですが、スーパーなどの小売りからは「もう少し安くならんか」と言われ続けています。

出荷のタイミングにはまとまった金が入ってきますが、それまでは餌代や酸素供給装置の電気代、人手の手配などで先出しばかり。少し余裕があるときに漁船の整備を後回しにしたツケが回ってきて、先月とうとうエンジンに不調が出ました。修理の見積もりは予想以上。船が動かないと仕事にならないのですが、今ある現金ではとても足りませんでした。
銀行には融資の相談をしましたが、決算書を見て渋い顔をされました。赤字ではないが、借り入れ枠も限界に近いと言われ、時間もかかりそうでした。そんなとき、知り合いの漁師から「ファクタリングって知っちょるか」と言われたのがきっかけでした。
言葉は知っていても、実際にどういうものなのかよく分からなかったのですが、調べてみると、出荷先からの売掛金を買い取ってもらい、早期に現金化できるというものでした。次の出荷は1ヶ月後で、既に契約書と出荷予定もありました。必要書類は請求書、契約書、通帳の写しなど。すぐにそろえて、オンラインで申し込みました。

電話での対応は想像していたより丁寧で、こちらの事情もきちんと聞いてくれました。審査も早く、申込みから2日後には入金され、漁船の修理にも間に合いました。もちろん手数料はかかりますが、漁が止まることを考えれば、安いものでした。
今回のことで痛感したのは、いざというときの選択肢を持っておく大切さです。ファクタリングは使い方を間違えなければ、事業の継続に役立つ手段です。ただ、当然ながら何度も頼れるものではありません。継続的に使うと手数料で利益が吹き飛びますし、取引先に知られずに済むとはいえ、信用にも影響が出る可能性はあります。

これを機に、経費の見直しや販売先の拡充、そして無駄のない出荷計画づくりにも取り組み始めました。運転資金の確保についても、事前に余裕を持たせるよう心がけています。自然相手の仕事で、すべてが計画通りにはいきませんが、立て直しのチャンスを得たことには感謝しています。
初めてのファクタリング。不安もありましたが、結果的には助けられました。何より、目の前の魚たちを健康に育て、きちんと市場に送り出すことができる。それが私にとって一番の安心です。

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