北海道 石油小売業 創業41年
ガソリンスタンドを経営していると、年々厳しさが増していることを実感します。特に、春と秋は売上が落ち込みやすく、資金繰りに悩むことが多くなりました。夏場はレジャーや帰省で長距離を移動する人が増え、冬場は暖房用の灯油の需要が高まるため、比較的安定した売上を確保できます。しかし、春と秋はそうした需要の波がなく、売上が落ち込む傾向にあります。
さらに、ガソリン価格の高騰が追い打ちをかけています。価格が上がれば、消費者の使い控えが増え、給油量が減るのは当然のことです。以前は「満タンにしてください」と言われることが当たり前でしたが、最近では「2,000円分だけ」「10リットルでいいよ」と言われることが多くなりました。灯油も同様で、かつては大容量のポリタンクを何本も購入するお客様が多かったのですが、今では必要最低限しか買わない人が増えています。
また、大手ガソリンスタンドとの競争も激しくなっています。価格面ではどうしても大手に勝てませんし、ポイントサービスや会員特典などの面でも太刀打ちできないのが現状です。地域密着型のスタンドとして、常連のお客様には支えられていますが、それだけでは収益を維持するのは難しくなっています。
そうした状況の中で、資金繰りを安定させるために『中小企業ビジネスサポーターズ』さんで初めてファクタリングを利用しました。すぐに資金が必要な時に、ファクタリングであれば、売掛金をすぐに現金化できるため、春秋期の売上が低迷する時期の資金繰りには適していると考えました。実際に利用してみると、申し込みから入金までがスムーズで、急な支払いにも対応できたので助かりました。
しかし、ファクタリングには手数料がかかるため、長期的な資金調達の手段としては難しい部分もあります。根本的な解決策にはならないことを実感し、今後の経営方針を見直す必要があると感じました。そこで、ガソリンや灯油、プロパンの販売以外の収益源を確保するために、新たな事業を模索し始めました。
現在、具体的に検討しているのが車両整備の強化です。オイル交換やタイヤ交換、簡単な点検業務などはすでに行っていますが、より本格的な整備にも対応できるようにすることで、新たな顧客層を取り込めるのではないかと考えています。また、地域の高齢化が進んでいることもあり、出張での給油サービスや灯油配達を強化することも検討しています。
ファクタリングは一時的な資金繰りの解決策としては有効でしたが、将来の経営を安定させるためには、やはり事業の多角化が必要だと痛感しました。今後は、ただ燃料を販売するだけでなく、地域の人々の暮らしを支えるサービスを提供できるスタンドを目指して、経営の在り方を見直していきたいと考えています。
お寄せいただいた体験談は、お客様が特定できないことを目的に、若干の修正をしております。改変に当たり文章の意図は変えておりませんので、ご理解ください。