埼玉県 飲食店 創業18年
居酒屋を3店舗経営しています。どれも繁華街からは少し外れた場所で、近所の常連さんに支えられてやってきました。コロナ明けの回復を期待していた頃は、まだ希望がありましたが、現実は思っていたよりもずっと厳しいです。
米、野菜、魚、肉、どれも右肩上がりで高くなっています。特に輸入に頼っていた部位や品種は、月ごとに仕入れ価格が変動して、仕込みのたびに電卓をたたき直す始末です。そこに加えて、ガスも電気も高止まり。ランチ営業の頃から換気や湯煎にエネルギーを使い、夜の営業では冷暖房を落とせない。光熱費だけで、以前の倍近くになっている月もあります。
さらに、人手の確保も容易ではありません。求人を出しても反応がない。ようやく来てくれた人も、賃金が少しでも低いと長く続きません。以前は最低賃金すれすれで回っていたバイトも、今は時給を上げないと誰も応募してくれなくなりました。人件費が膨らむ一方で、それに見合う売上増は見込めません。とはいえ、値上げには限界があります。この3年で2割ほどメニューの価格を上げましたが、それでも「高くなった」とお客さんに言われることが増えました。原価を正直に説明しても、客単価が上がることへの印象はなかなか変わりません。これ以上上げると来店頻度が落ちる。かといって下げたら赤字になる。ギリギリのせめぎ合いです。
そんな中、どうしても避けられなかったのが資金繰りです。毎月の仕入れと人件費、家賃の支払いで、現金が底をつくタイミングが出てきました。銀行は追加融資に慎重ですし、時間もかかります。そこで、知人に紹介されたファクタリングを使い始めました。
当初は一度きりのつもりでしたが、今では毎月、定期的にファクタリングを利用しています。売掛金の一部を前倒しで現金化することで、支払いの波を越えることができます。もちろん手数料はありますが、仕入れや給与の遅延で信頼を失うよりはマシです。
本当は、こんなことに頼らなくても済むようにしたい。今は店舗ごとにタブレット注文を導入し、注文ミスやホールの負担を減らす試みを進めています。食材のロス削減のために、毎日の在庫データもスタッフ全員で共有しています。売上が伸びるというよりは、出ていくお金を少しでも抑える戦いです。
先月から、店舗ごとに業態を少しずつ変えることも始めました。一つは昼はカフェ、夜は居酒屋。もう一つは魚を強みにした立ち飲みスタイルに変更中です。変化を恐れてはいられません。新しい客層をつかめれば、回転率も変わるかもしれません。
今の経営が盤石だとは思っていません。ただ、踏みとどまるための工夫を重ねて、少しずつでも未来をつくっていくしかありません。ファクタリングもその一部です。借入ではない分、翌月にはまた仕入れと売上で埋められる目処が立てやすいのが救いです。
あと半年、せめて一年。その間に客足が安定し、原価も落ち着いてくれれば、ファクタリングから抜け出す見通しもつきます。それまでは、目の前の営業に集中するしかありません。現場に立ち、常連の顔を見ながら、どうにかこの居場所を守り続けたいと思っています。
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