日本の縫製技術を守るためにファクタリングで営業継続、アパレル業界を支えている

岐阜県 縫製業 創業71年

親の代から繊維業を始めて七十年。もともとミシンを踏んでの部分縫いからスタートし、徐々に自社ブランドを立ち上げてきました。今は主にアパレルメーカーからの依頼で、サンプル品の製作を請け負っています。量産ではなく、サンプル。それがうちの仕事です。コレクション用の一点物や展示会向けの試作、商談用の見本。納期がタイトな代わりに単価は高く、仕上がりには細かい要求が多い分、腕の見せどころになります。

量産工場と違って、大きな設備も要らず、裁断から縫製、仕上げまでを少人数で回せるのが強みです。ただ、その反面、生産量は限られます。ひとつの仕事に時間をかけてしまうため、同時に複数はこなせません。効率よりも精度。商売というより、職人の仕事です。昔は実習生を使って量産もしていましたが、今は難しくなっています。最低賃金も上がり、管理コストも重い。寮の手配、送り迎え、通訳、行政対応……量産前提の中堅以上の工場でなければ、実習生のメリットは薄れます。うちは職人3人と家族を含めての零細工房です。月に15着程度のサンプル品をつくり、1点あたり数万円。月商で見れば安定していますが、売上が集中する月とそうでない月の差が激しいのが現実です。

年明け、主要な取引先の展示会準備が集中し、月をまたいで大量の依頼が入りました。納品は2月末、請求書を出せるのが3月。入金は4月。その間、材料の仕入れと外注費、人件費がかさみます。資金繰りに頭を抱えていたとき、同業の先輩からファクタリングの話を聞きました。請求書を買い取ってもらい、入金を早める仕組み。借入ではないと聞き、抵抗感が薄れました。

はじめてのファクタリング。『中諸王企業ビジネスサポーターズ』桟への問い合わせから、契約まで、思った以上に早く進みました。2社間で、取引先には知られずに済む方式。信用調査やヒアリングはありましたが、過去の実績と支払い遅延がないことを評価され、利用が可能となりました。手数料はかかりますが、その数%を差し引いても、早期に現金が手に入るというのは大きな利点です。おかげで外注先への支払いも滞らず、納期を守ることができました。

この業界に限らず、商売は納期がすべてです。一日でも遅れれば次からの依頼は減ります。そういう意味では、ファクタリングの利用は一種の投資。信用を守るための手段です。もちろん、常に使うわけではありません。あくまで、必要なときに、必要な分だけ。無理のない範囲で使えば、資金繰りに余裕が生まれます。現金が早く回れば、次の仕事に余裕をもって取り組めます。

量産をしていた頃よりも、仕事の規模は小さくなりました。ただ、今のやり方のほうが自分には合っていると感じています。手間を惜しまず、仕上がりを重視する仕事。少量でも、確かな品質で勝負するものづくり。ファクタリングを使ったことがきっかけで、自分の仕事のリズムや価値をあらためて見直す機会にもなりました。信用をつなぐ手段。そういう印象が、今の私の中に残っています。

お寄せいただいた体験談は、お客様が特定できないことを目的に、若干の修正をしております。改変に当たり文章の意図は変えておりませんので、ご理解ください。