日本のモノづくりの足腰である町工場を守り続ける。

愛知県 金属加工業 創業37年

当社は創業から三十年以上、金属加工を手がけてきました。小さな町工場として始まり、徐々に取引先を増やしながら、品質と納期の確実さを評価されてここまで続けてきました。しかし、この数年の原材料価格の高騰、加えて燃料費や電気代の値上がりによって、経営環境は急激に厳しさを増しています。

 特に、鉄やアルミニウムといった主要な加工素材の価格は、ここ数年で大幅に上昇しました。一時は取引先とも交渉を重ね、製品価格の引き上げを受け入れてもらうことで対応してきましたが、さらに原材料が高騰した現在、追加の値上げは厳しいというのが現状です。メーカー側もコスト増に苦しんでおり、容易に価格転嫁を受け入れることはなく、こちらの立場を考慮してくれるとはいえ、交渉は難航しています。

 そのため、社内では徹底したコスト管理を進めています。生産工程の無駄を省くことでロスを減らし、材料の調達量を極力抑える努力を続けてきました。機械の稼働時間を見直し、電気代のピークを抑える工夫も施しました。しかし、それでも経費削減だけではカバーしきれない部分があり、資金繰りに悩まされる日々が続いていました。

 そんな折、銀行からの追加融資も検討しましたが、融資を受けるためには担保が必要であり、審査にも時間がかかります。資金が必要な時期が迫る中、迅速な対応が求められる状況でした。そこで、ファクタリングという方法に初めて目を向けることになりました。

 ファクタリングは、当社が持つ売掛債権をファクタリング会社に売却し、その代金を早期に資金化する仕組みです。これにより、取引先からの入金を待つことなく資金を調達することができます。初めての利用ということもあり、不安もありましたが、複数の会社を比較し、信頼できる業者を選定しました。特に、手数料や契約条件を細かく確認し、不利な契約とならないよう慎重に進めました。

 ファクタリング会社との手続きはスムーズに進み、短期間で必要な資金を確保することができました。この資金によって、予定していた材料の仕入れを滞りなく行うことができ、ひとまずの危機を乗り越えることができました。売掛金の入金時期を待つことなく資金を回収できたことで、キャッシュフローに余裕が生まれ、設備のメンテナンスや今後の運転資金の確保にもつながりました。

 今回、初めてファクタリングを利用し、銀行融資とは異なる資金調達の選択肢を実感しました。もちろん、ファクタリングには手数料が発生するため、頻繁に利用すればコスト負担が大きくなります。しかし、突発的な資金ショートを防ぐ手段としては、非常に有効であると感じました。

 現在も厳しい状況が続いていますが、資金繰りの選択肢が広がったことで、今後の経営計画も立てやすくなりました。引き続き、生産効率の向上やコスト削減に取り組みながら、適切なタイミングで資金調達の手法を選択していきたいと考えています。

 当社のように、原材料価格の高騰やコスト増加に直面している企業にとって、ファクタリングは有効な選択肢の一つです。資金繰りに悩む中小企業にとって、即座に資金を確保できる手段は、経営の安定に直結します。今後も慎重に状況を見極めながら、柔軟な経営判断を心がけていきたいと思います。

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