岐阜県 水道施設工事業 創業21年
配管工を始めて20年になります。いまは一人親方で、若い頃に修業した会社を辞めて独立してからは、もう10年が過ぎました。いまの主な取引先は2社。どちらも元請けのリフォーム会社で、住宅の水回りが中心です。キッチンやユニットバスの入れ替え、トイレの増設、あとは年に何件かは戸建ての新築もあります。
材料は元請けからの支給で、こちらで用意するのは基本的に道具と人手だけです。そういう意味では負担が軽いように思われがちですが、実際には交通費や駐車場代、細かな消耗品など、積もるとそれなりの出費になります。もちろん、工賃だけで食べていけるなら文句はありませんが、現実はそう甘くありません。
水回りの工事は、言ってしまえば「なくならない仕事」です。老朽化すれば交換が必要だし、ちょっとしたトラブルでもすぐ呼ばれます。いまは個人からの直接依頼も徐々に増えていて、口コミや以前のお客様からの紹介で、月に数件は新しい依頼が入ります。ただ、それでも月によって波があるのは確かです。
一番困るのは、元請けからの入金の遅れです。月末締め翌月末払いというのはもう慣れていますが、たまに支払い処理がずれることもあり、そうなると予定が大きく狂います。従業員がいない分、人件費の負担は少ないですが、それでも生活費や車の維持費、工具の買い替えなど、日々の支出は待ってくれません。
そこで使うようになったのがファクタリングです。請求書を発行した段階で資金化できるので、次の現場にすぐ動けます。特に、個人客からの仕事で材料をこちらで立て替える必要があるときなどは、非常に助かります。あとは車検や急な出費が重なったとき。手数料は多少かかりますが、手元が回らず仕事が止まるよりは、ずっといいと思っています。最初は2社間の仕組みがよく分からず不安もありましたが、慣れてしまえば特に難しいことはありません。
取引先に知られずに資金化できるというのは、こちらの信用にも響かないので大きなポイントです。あまり頻繁には使いませんが、2〜3か月に一度、まとまった入金が遅れるときや大型の個人案件が入ったときには利用しています。
正直、物価がここまで上がるとは思っていませんでした。水道管や継手の価格は目に見えて上がっているし、ユニットなどは何カ月も待たないと手に入らないこともある。
工具も替刃も消耗が早い。ガソリン代もばかにならない。かといって、工賃を簡単に上げられるわけでもない。お客様には値上げの理由を説明しますが、それで受注を逃すこともあるので、判断が難しいところです。
最近では、近くの若い配管屋仲間にもファクタリングの話をしています。「変に借金するより、そっちの方が健全だ」と言ってくれる人もいれば、「手数料がもったいない」と言う人もいます。でも、資金が回らずに仕事を止めてしまったら、信頼も実績も全部台無しになります。それだけは避けたい。
自分としては、まだまだ現場に出ていたいです。お客様に「きれいに仕上がったね」と言われるのが一番のやりがいですから。ファクタリングはそのための手段のひとつ。いつか完全に手を引ける日まで、必要なところには使って、着実に続けていこうと思っています。