長野県 建設業 創業20年
建設業に入ってもう20年になります。親方の代から数えれば、うちの会社もそれなりの歴史があります。今は私が代表を務めていて、従業員は12人。みんな腕が良くて、現場でも信頼されています。
今受けている仕事は、大手デベロッパーが手掛ける中層マンションの基礎工事や外構周り。下請けではありますが、長く付き合いのある元請けで、仕事は安定しています。ただ、安定しているのは仕事の量だけで、代金の方はどうにも上がりません。この数年の物価高には正直まいっています。鉄筋も生コンも値上がりが続いていて、材料費の負担が重くのしかかります。しかも人手不足で、若い職人を確保するには給料を上げるしかありません。技能実習生に頼ることもできない現場なので、地元の職人を守るには、それなりの待遇を出さないと人が集まらないのです。
支払いサイトは長めで、現場が終わってから1~2ヶ月後。その間に人件費や材料費を立て替えるのが下請けの宿命ですが、今はとにかく資金繰りがきつい。そんなとき、取引先の同業者からファクタリングの話を聞きました。最初は「ウチには関係ない」と思っていました。けれど、説明を聞いてみると、売掛金を早く現金化できる仕組みで、借入ではない。要は、入金を前倒しする方法だと知って、「これなら使えるかもしれない」と思ったんです。
請求書を出してから入金されるまでの間、その売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、手数料を差し引いた金額を先に受け取る。書類と実績さえ整っていれば審査もスピードも早く、実際、初回でも数日で振り込みまで完了しました。そのときは、ちょうど給料日直前で、材料代の支払いも重なっていたタイミング。間に合わなければ従業員に謝るしかないところでしたが、ファクタリングで助かりました。
ただ、このまま下請け代金が据え置きのままでは、じり貧です。元請けと価格の交渉もしていますが、簡単には動かないのが現実。だからといって仕事を減らすわけにもいかず、今はまだ、この制度に頼らざるを得ない状況です。何より、従業員の生活を守る責任があります。みんな家族もいて、日々現場で汗を流してくれている。だから、無理をしてでも給料は遅らせられない。それが社長としての務めだと思っています。
ファクタリングが万能だとは思いません。でも、資金ショートを防ぎ、現場を止めずに済んだのは確かです。今はできる限り手数料のかからない資金繰りに切り替えようと、少しずつ工夫を始めています。将来的には、こうした制度に頼らなくても経営が回るように、もっと強い会社にしていきたい。ファクタリングを使ったことを恥ずかしいとは思っていません。大事なのは、現場を守ること。そして、職人を守ること。それが、今の私の仕事です。
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