大変な状況の流通業界でファクタリングを利用し、事業継続を図る

岐阜県 運送業 創業32年

運送業を始めて二十年になります。最初は軽貨物一台での個人事業でしたが、地場の配送を中心に少しずつ仕事を増やし、今では中型車両を五台、自社で保有しています。ドライバーも数人雇って、法人化したのは五年前のことです。そこからの数年は、物流の需要も安定しており、燃料の変動も今ほどではありませんでした。

変化が大きくなったのはここ二、三年です。軽油の価格が右肩上がりになり、しかも高止まりしたまま戻る気配がありません。元々ギリギリの粗利で成り立っている仕事なので、燃料費が数円上がるだけでも利益が吹き飛びます。それに加えて、人手不足が深刻になり、ドライバーを確保するには以前よりも高い給与や手当が必要です。今の相場では、時給換算で二千円を提示しても来ないことも珍しくなくなりました。

それでも配送の遅延や欠便は避けなければならず、契約を維持するためには無理をしてでも人を雇わなければなりません。結果として、人件費と燃料費で固定費が圧迫され、キャッシュフローが追いつかなくなってきました。銀行からの借入れも限度があり、返済負担を考えると、これ以上は踏み込めません。そこで選んだのがファクタリングでした。

初めて利用したのは一年ほど前、請求書の入金を待つ間の燃料代が足りなかったときです。支払いサイトが月末締めの翌々月払いという荷主もあり、走っても売上が現金化されるまで時間がかかる。そこで、その債権を譲渡して先に現金を受け取ることで、支払いを乗り切りました。初回の手数料は高く感じましたが、資金のショートよりはましだと割り切るしかありませんでした。

それ以来、月に一度はファクタリングを利用しています。燃料費とドライバーの人件費にあてるための資金繰りとして、ある意味、経営の一部になっているような状態です。もちろん、毎回手数料を取られることで利益は削られますし、健全とは言えません。それでも、配送を止めれば即座に信頼が失われ、契約を打ち切られるリスクがある以上、選択肢は限られています。

最近では、同業者との会話でも「もう限界だ」「これ以上運賃を上げられない」といった話ばかり聞きます。荷主に交渉しても、簡単には運賃を上げてもらえず、その一方で労務コストは確実に上昇しています。このままでは、業界全体が徐々に崩れていくのではないかという不安すら感じます。物流が止まれば、物が動かず、消費も経済も立ち行かなくなる。そんな危機感を持っているのは、私一人ではないはずです。

今も、次のファクタリングの申し込みを検討しています。ただ、以前ほどの金額ではなく、手数料を抑えるために部分的に利用するようになりました。少しでも資金繰りを自力で立て直すために、運行ルートの見直しや、ドライバーの勤務形態の最適化も進めています。車両の燃費管理やメンテナンスも徹底し、小さなコスト削減の積み重ねを続けています。

何とかこの業界を、そして自分の会社を持続させたいという気持ちは今も変わりません。ファクタリングに依存しすぎず、しかし必要な時には迷わず活用する。そのバランスを保ちながら、次の一ヶ月、次の一年をどう乗り切るか。それが今の私の毎日の課題です。物流が止まらないために、自分ができることを少しずつでも続けるしかありません。