外構工事も単価が下がり厳しい経営状態を、ファクタリングを利用することで営業継続。

栃木県 土工工事業 創業26年

外構の仕事を始めてから、もう20年以上の年月が経ちました。かつては玄関まわりのアプローチに天然石を敷き詰め、和の庭を築き、シンボルツリーを据えて、というような手の込んだ仕事が中心でした。お客様と何度も打ち合わせを重ねながら、予算の中でいかに美しく、長く持つものを作るかを考える日々。あの頃は、ひと現場終えるたびに、現場ごとに違う風景が残り、それが誇りでもありました。
ところが最近は、まったく様子が違います。マンションデベロッパーやハウスメーカーからの外構工事の受注がほとんどで、図面は決まりきっていて、設計の余地などほとんどありません。コンクリートの土間を打ち、既製品のフェンス、ユニットタイプ門柱など指定があり、組み立てるだけの作業です。簡素で安価、工期も短い。言われたとおりに施工すれば良く、トラブルも起きにくい仕事ではありますが、正直なところ、面白みは感じにくくなっています。
そのため単価も下がり続けています。以前なら、造園業者を別に呼んで庭木を配置したり、意匠性のあるブロックを積んだりというような案件が多く、それだけでまとまった金額になっていたのですが、今ではそのような余白はほとんど残っていません。すべてが簡略化され、最低限の機能だけを追求した外構が主流です。美しさや遊び心は後回し。住まいの「顔」としての外構の役割は、どこか置き去りにされているように感じます。
一方で、工期はどんどんタイトになっています。建物の引き渡しが決まっているため、現場の進行が遅れればそのしわ寄せは外構にきます。建築が終わった数日のうちに仕上げなければならず、天気に悩まされながら泥まみれで作業を進めることも珍しくありません。時間も、品質も、そして単価も、厳しさを増しています。

こうした状況の中で、資金繰りはますます難しくなっています。月末の支払いには職人の手間賃、資材費、外注費などが重なり、現場が増えれば増えるほど、先に出るお金も多くなる。入金はほとんどが翌月末や翌々月。余裕がない時には、どうしてもファクタリングを頼ることになります。売掛債権を一部現金化し、急な支払いに対応する。利率は重たいものの、背に腹はかえられません。もちろん、本当は使いたくありません。ファクタリングに頼っていては、いつまでも利益が残らず、余剰資金も生まれないことは分かっています。ただ、現場の数は一定していないため、売上が立つ月とそうでない月の差が大きいのです。安定した収入が得られれば良いのですが、それを見越して余裕のある発注をしてくれる元請けは少なく、すべてが出来高制で動いています。
新しい機材を導入したいと思うこともあります。たとえば小型のコンクリートポンプや、運搬を効率化する軽トラックの増車など。どれもあれば仕事が楽になり、短時間で仕上げることが可能になるはずです。ただ、今はそれよりも目の前の現場を回すことで精一杯。「投資のための余力」を生むためには、まず安定的に資金を回すことが最優先です。とはいえ、ただ厳しいことばかりではありません。最近では、外構専門の工事会社としての技術力や対応力を買ってくれる個人のお客様からの問い合わせも増えつつあります。最初はハウスメーカーのオプションを断った方が、後から「きちんとした外構にしたい」と相談に来てくださることもあります。そういうときは、こちらもできる限り応えたいという気持ちになります。やはり、お金だけではなく、仕事の充実感が何よりの支えになります。

自分にできることは、誠実に現場をこなし、信頼を積み重ねていくことです。いまの状況で大きく稼ぐことは難しいかもしれませんが、小さな信頼の積み重ねが、次の仕事を生むと信じています。ファクタリングに頼らず、自力で資金が回せるようになる日が来るまで、日々を確実に積み重ねていきたいと考えています。

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