埼玉県 創業16年 行政書士
行政書士として開業してから十数年が経過しました。手続きの数もこなし、多少の経験も積んできましたが、業務の広がりには限界を感じる日々が続いています。
当事務所では、主に建築確認申請や各種営業許可の申請を中心に業務を行っています。いずれも地味ながら、一定の需要があり、地域の事業者にとっては必要不可欠な分野です。ただ、近年は「自分でやってみる」という人が増えてきたこともあり、申請書の作成から役所への提出まで、行政書士を通さずに済ませるケースが目立つようになりました。
不景気の影響もあり、新たに開業する店舗や会社も以前ほど多くありません。開業手続きにまつわる依頼が減り、相談件数そのものが減少しています。こうした変化はじわじわと、しかし確実に日々の業務に影響を及ぼします。同業者の中には、技能実習生や留学生のビザ申請関連の業務を柱としている事務所もあります。継続的に案件が発生し、ボリュームもあり、顧問契約につながることもあります。そうした安定した収益源があるかないかで、事務所運営に大きな違いが出ることを痛感します。当事務所では、そういった入管業務に手を出せていません。今から新たに参入するには人脈も乏しく、慎重にならざるを得ない状況です。結果として、収入の見通しが立ちにくく、突発的な支出に備える余裕も限られています。
ファクタリングを利用し始めたのは、そんなときでした。大きな金額ではありませんが、建設関連の申請案件は納品までの期間が長く、報酬の入金が遅れる傾向があります。その間に事務所の経費が重なり、キャッシュフローに不安が生じました。2社間ファクタリングを選んだのは、取引先に知られることなく資金を調達できる点が大きかったです。売掛債権が小口であることもあり、手数料は高めでしたが、緊急時の安心感には代えられません。継続的に利用しているわけではありませんが、手元資金が薄い月や、更新のための機器購入が必要なときなどには、大きな支えになっています。
士業という立場上、資金繰りの話を外に漏らすことに抵抗もあります。ただ、現実として収支のバランスが崩れれば事務所は続きません。収入が読めず、支出が先行する状況では、外部の資金調達手段も視野に入れるべきだと感じています。
行政書士業務の将来に対して不安がないと言えば嘘になります。それでも、地元の小さな事業者の役に立ちたいという思いは変わりません。限られた分野でも、きちんと対応すれば信頼につながります。仕事の質を落とさず、必要な場面では資金調達を工夫する。そんな現実的なバランスの中で、なんとか日々をつないでいます。
お寄せいただいた体験談は、お客様が特定できないことを目的に、若干の修正をしております。改変に当たり文章の意図は変えておりませんので、ご理解ください。