今、順調なケータリング事業を伸ばすことで、ファクタリングからの脱却を目指す。

愛知県 飲食業 創業14年

居酒屋を構えてもう十数年になりますが、ここ数年はずっと低空飛行のままです。
常連さんは今でも顔を出してくれますし、週末に団体が入るときもあります。ただ、全体として見ると売上は落ち着いたままで、仕込みの量を少し間違えるだけで、冷蔵庫にはロスが積もっていきます。深夜営業をやめたことで人件費は軽くなりましたが、それで黒字になるような余裕はありません
そんななか、最近ケータリングの依頼がぽつぽつと入るようになりました。企業のイベントや自治会の集まりへの配達が多く、決まった時間に、決まった人数分だけを用意すれば良いので、ロスが出ません。店舗営業では読めない部分が多かった仕込みの量も、ケータリングならすべて事前に決まっているので、仕入れの計画も立てやすく、調理スタッフの手配も無駄がありません。何よりありがたいのは、現場まで届けるだけで、料理の説明や接客に追われることもないという点です。営業の合間に仕込んでおき、指定時間に車を出せば済むので、時間の使い方にも柔軟性が出ました。

ただ、どんなに効率が良くても、入金が遅ければ資金繰りは厳しいままです。ケータリングの取引先は大手が多く、支払いサイトが長く設定されています。材料の仕入れやスタッフへの支払いが先行するなかで、売上金が数か月先にしか入ってこないというのは、やはり大きな不安要素です。
そこで今は定期的にファクタリングを利用して、ケータリング分の売掛を現金化しています。
最初は不安もありましたが、取引先の信用があれば買い取ってもらいやすく、スムーズに資金が回るようになりました。ただし当然ながら手数料はかかりますし、それを差し引くと利益はやや薄くなります。
けれど、仕込みを控えめにして店を開け続けるより、確実に出せる分を調理して届けるスタイルの方が精神的な疲れが少ないのも事実です。最近では、昼はケータリングの準備と配送に集中し、夜は店舗の常連に絞った営業に切り替えることで、バランスをとっています。

今はファクタリングでの調達額を少しずつ減らしながら、運転資金のやりくりに取り組んでいるところです。ケータリングをさらに伸ばすには、リピート客を確保することが欠かせません。幸い、ある会社から定期的に注文が入るようになり、社内の会議弁当として、うちの料理を選んでもらえています。価格を抑えすぎず、無理のない範囲で提供できる仕組みを保ち続けることが、今の生活を安定させる鍵だと感じています。
現場での対応が丁寧だと、次も頼みやすいと言ってもらえます。料理だけでなく、容器の使い方や配送時の温度管理など、細かいところにも気を配るようにしています。いまのところ、それが少しずつ実を結んでいるようです。ファクタリングに頼らずに済むようになるには、まだ時間がかかるかもしれませんが、地道に積み重ねていくしかありません。

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