神奈川県 塗装工事業 創業24年
塗装工事の仕事を始めて20年以上になります。
最初は個人住宅の外壁塗装や屋根の塗り替えが中心で、天気に左右される毎日を過ごしていましたが、10年ほど前からは公共工事をメインに受けるようになりました。予算規模が読みやすく、工期や支払いも明確なので、経営もだいぶ安定してきました。
ですが、この2〜3年で状況が大きく変わってきました。
一時期のコロナ対策で公共予算が先食いされてしまい、今は発注件数そのものが減っています。自治体の担当者からも「今年度は案件が少ないです」とはっきり言われてしまいました。単価も抑えられ、入札しても思うように受注できない月が増えています。
民間の工事に戻ることも検討しましたが、こちらは金額が小さく、しかも支払いの遅れがあると資金繰りに響きます。材料代も人件費も上がっている今の状況では、公共工事の穴埋めにはなりません。
一時的に現金が必要になったとき、知人からファクタリングの話を聞きました。
聞いたことはあっても詳しくは知らなかったので、最初は不安でしたが、調べてみると2社間ファクタリングなら元請けに知られず資金化できると分かりました。ちょうど完了検査を終えた現場の請求書があったので、それを使って依頼したところ、審査はすぐに通り、翌営業日には指定口座に入金されました。
資金の使い道は、材料の先買いや、外注していた業者との契約更新です。
先延ばしにすれば後で響く内容だったので、本当に助かりました。ただ、当然ながら手数料も安くはないですし、何度も使えば利益が削れていくのは明らかです。定期的には利用していますが、あくまで“つなぎ”という意識で付き合うようにしています。
事務所の経費や倉庫の賃料も見直し、最近では空き時間に倉庫の一角を機材保管用に貸し出すサービスを始めました。大型のスプレーコンプレッサーや足場材などは保管場所に困る業者が多く、意外にも問い合わせがあり、わずかですが副収入にもなっています。
今は業績が落ち込んでいるとはいえ、仕事がないわけではありません。
工事単価が下がっている分、どこでコストを絞るか、どうやって回収を早めるかが鍵だと感じています。あまり表に出すことではありませんが、実際にファクタリングで資金を回したことで、請負範囲の拡大や工期短縮につながった現場もありました。
ただ、これが常態化すると、資金繰りが本業になってしまいます。
業績が戻るまでの時間をどう乗り切るか。その選択肢のひとつとして、ファクタリングがあるだけです。依存せず、冷静に判断しながら、いずれ来る再浮上のタイミングを待っています。
どんな時代でも、塗装の技術そのものが必要とされなくなることはありません。だからこそ、自分の足場は自分で固めておきたいと感じています。
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