東京都 不動産業 創業4年
いわゆる不動産ブローカーという立場で動いています。宅建の資格は持っていませんが、契約は提携している不動産会社に任せる形で、私はその前段階の「つなぎ」を専門にしています。人と土地とタイミングを結ぶのが自分の仕事だと、勝手に思っています。
普段は賃貸物件の紹介や、貸主と借主を結びつける案件が中心です。特に難しいのが店舗や事務所の居抜き。物件はあるのに借り手が決まらない。そんな中でも、繁華街や幹線道路沿いの好立地となると、話がついたときの手数料は大きくなります。
とはいえ、安定はしていません。数ヶ月まとまった収入がないことも珍しくない。動き出しても、売買や契約が成立するまでは何も入らない。いくら動いても、ゼロで終わることもある。そのくせ、携帯代や交通費、資料作成の印刷代などは毎月かかってきます。
そういう生活を続けていると、ある程度は慣れますが、それでも資金繰りが厳しい時期はあります。そういう時に知ったのがファクタリングでした。最初は半信半疑で、こんな仕事にでも買い取ってもらえるのかと不安でしたが、実際にやってみると意外と手続きはシンプルでした。
私の場合、売買の紹介手数料が確定した段階で、契約書や支払い予定日などをもとに、債権として一部を売却しています。もちろん、すべての案件が対象になるわけではありませんが、大手のテナントが入る予定だったり、買主がしっかりしていたりすれば、そこそこの評価で買ってもらえます。
問題は、クセになってしまうことです。正直なところ、今では毎月のように何かしらの債権をファクタリングしています。定期的にまとまった収入があるわけではないので、予定されている紹介料の一部を現金化して、支払いにあてています。
ファクタリングがなければ、動くためのガソリン代もままならないこともあるので、助かっているのは事実です。ただ、手数料は決して安くないので、何も考えずに使うと、あとで痛い目を見ます。以前、最終的な手数料より先に資金を使い込んでしまい、清算のときに足りずに知人に頭を下げたこともあります。
今は、入る予定の手数料をもとに、事前にキャッシュフロー表を簡単に作っています。どれを売って、どれを手元に残すか。どこまでなら次の案件で取り戻せるか。自分の中で基準を作らないと、あっという間に回らなくなります。
ブローカーの仕事は、ギャンブル的な要素があるのは確かです。でも、うまく回れば大きな利益になることもある。商業地の再開発情報を掴んでいたとき、偶然そこに出したいという法人を知っていたことで、一気に何百万という手数料が入ったこともあります。そんな夢を見ながら、今日も地道に動いています。
ファクタリングは、その夢を現実につなぐための「つなぎ資金」として、今の自分には必要な手段です。ただ、それに依存しきらず、あくまで「一時的な流動性の確保」として割り切るようにはしています。そうしないと、気づけば借金まみれのような錯覚に陥るからです。
まだこの先どうなるかは分かりません。でも、街の動きや人の流れを感じながら、必要とされる限りは、ブローカーとして自分なりに役割を果たしていこうと思っています。
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