ファクタリングは、中小企業の資金繰りを支援する手段として注目されていますが、近年ではその仕組みを悪用した違法行為が問題視されています。特に、弁護士法に抵触する「非弁行為」や、実質的に貸金業に該当する取引が増加しており、弁護士会もこれらの問題に対して積極的な対応を行っています。
ファクタリングを巡る法的問題
ファクタリングは、企業が保有する売掛債権を専門業者に譲渡し、早期に資金化する仕組みです。しかし、形式上は債権譲渡であっても、実態としては高金利の貸付とみなされるケースが増えています。例えば、手数料が年利換算で100%を超えるような契約や、回収不能時に利用者が全額を負担する「償還請求権付き」の契約は、貸金業法に違反する可能性があります。また、弁護士資格を持たない業者が債権回収を代行することは、弁護士法第72条に違反する非弁行為とされます。
弁護士会の対応と取り組み
日本弁護士連合会(以下、日弁連)は、違法なファクタリング業者の増加に対し、警鐘を鳴らしています。2020年には、金融庁や警察庁など関係機関に対し、中小企業が違法業者の被害に遭わないよう注意喚起を行うよう要請しました 。また、各地の弁護士会も、ファクタリングに関する無料相談窓口を設置し、被害者の救済に努めています。例えば、広島弁護士会は全国一斉の電話相談会を実施し、被害者からの相談を受け付けました 。
日本弁護士連合会+1ベストファクター+1
広島弁護士会
被害者救済の具体的手段
違法なファクタリング契約に巻き込まれた場合、弁護士を通じて以下のような対応が可能です。
契約内容の精査と無効主張:契約が実質的に貸金であり、利息制限法を超える手数料が設定されている場合、超過部分の無効を主張できます。
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過払い金の返還請求:過去に支払った手数料が法定利息を超えている場合、過払い金として返還を求めることができます。
非弁行為の指摘:弁護士資格を持たない業者が債権回収を代行している場合、その行為が非弁行為に該当することを指摘し、契約の無効を主張できます。
これらの対応を行う際には、契約書や取引記録などの証拠を保管しておくことが重要です。また、法テラスなどの公的機関を利用することで、弁護士費用の負担を軽減することも可能です。
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予防策と今後の展望
ファクタリングを利用する際は、以下の点に注意することで、違法業者とのトラブルを回避できます。
業者の信頼性の確認:金融庁の登録貸金業者情報検索サービスなどで、業者の登録状況を確認します。
金融庁
契約内容の精査:手数料や契約条件が適正かどうかを確認し、不明点は弁護士に相談します。
複数の業者を比較:複数のファクタリング業者から見積もりを取り、条件を比較検討します。
弁護士会は、今後も違法なファクタリング業者の排除と、被害者の救済に向けた取り組みを強化していく方針です。利用者自身も、正しい知識を持ち、慎重に業者を選ぶことが求められます。