ファクタリングに頼りながらに経営も1年が過ぎ、徐々にいい兆しも見えてきました。

愛媛県 電気設備工事 創業22年

電気の仕事は、季節に左右されることが多いです。ビルの配線や新築戸建ての引き込みは、建築の進捗に合わせて予定が動くし、イベント関連の臨時配線は、土日や夜間に集中します。特に年末年始や年度末は一気に忙しくなり、逆に夏場や年度明け直後は急に仕事が減ることもあります。

自分は個人で電気工事業をやっていて、職人を一人二人と応援で呼ぶこともありますが、基本は一人で回しています。昔からのつながりで、建築業者やイベント会社から声をかけてもらうことが多く、現場は安定している方かもしれません。

ただ、現場が入っていても、そのまま収入に直結するわけではありません。仕事が終わってから請求書を出して、入金になるまでに1~2か月は空きます。特にイベント関係は支払いが遅めのことが多く、春にまとめて現場があったのに、口座にはほとんど残っていないという時期もあります。

そんな状態で困ったのが、数年前の梅雨入り前でした。イベントと新築が重なって資材費がかさんでいた上、軽トラックのエアコンが壊れてしまい、急な修理が必要になりました。部品も含めて10万円近い出費で、しかもその月の終わりには外注への支払いも控えていました。

何とかならないかと相談したのが、同業の先輩でした。そこで初めてファクタリングという手を教わりました。簡単に言えば、請求済みの売掛金を業者が買い取ってくれて、数日中に現金が振り込まれるという仕組みです。融資ではないので、信用情報に影響はないという点も安心でした。

それからは、同じように資材の仕入れが重なる時期や、イベントが続いたあとで入金が追いつかないときなどに、定期的に利用しています。特に年明けから春先までは、自治体や企業の年度末工事が集中する一方で、支払いは4月以降になることが多く、その間をどうつなぐかが毎年の課題です。

ファクタリングの手数料は決して安くありません。でも、工期を守るために外注を止めたくないとか、資材の発注を後回しにできないときには、必要なコストだと割り切っています。お金がないから仕事を断るというのは、本末転倒だと思っています。

もちろん、ずっと頼り続けるわけにはいきません。なるべく使わずに済むように、支払いサイクルが早い取引先を増やしたり、着手金を一部もらえるよう調整したりもしています。でも現場が詰まっているときほど、資金の動きが複雑になるので、最終的に頼れる仕組みがあると気持ちの余裕が違います。

個人でやっていると、現場の仕事だけでなく、材料の手配、帳簿、見積もり、請求まで全部一人です。余裕のあるときはいいのですが、いくつかの現場が重なると、どこかで無理が出てきます。そんなとき、支払いの遅れや設備投資のタイミングで慌てずに済むよう、ファクタリングを“道具のひとつ”として考えるようになりました。

理想は現金商売ですが、実際のところはそう簡単ではありません。だからといって、職人に日払いで来てもらうのに「来月まで待ってくれ」とも言えませんし、材料屋への支払いも遅らせれば信用に響きます。結果的に、数万円でも先に確保できる手段があるかないかで、回り方は大きく変わります。

今は、年間で3~4回程度の頻度でファクタリングを利用しています。あくまで一時的な補助としてですが、あるのとないのとでは、現場の安心感が違います。

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