高知県 印刷業 創業21年
印刷一筋で20年ほど歩んでいます。書籍やチラシの部数が目に見えて減り、大手が設備投資で一気に単価を下げるたび、地域の中規模工場は息苦しさを覚えます。ネット通販印刷の台頭で価格は崩壊寸前です。そんな中でも取引先を手放さないよう、配送ルートの手配や納品スケジュールの自動調整など、印刷以外の細かなサービスを積み重ねています。
しかし原紙やインキの仕入れ値は上がり続け、支払いサイトは長いままです。月末が近づくたびに資金は底を突きそうになり、定期的なファクタリングが欠かせません。請求書を譲渡して得た資金で、紙代や外注加工費を期日どおりに払い、社員の給与も守ります。手数料は痛手ですが、遅延や減員で信用を落とすよりは得策と判断しています。
もちろん、続けるだけでは先が見えません。そこで今年から、印刷物とWEBコンテンツを連動させる新サービスを動かし始めました。パンフレットのQRコードから商品ページへ直接誘導し、閲覧回数に応じて次回印刷部数を自動提案する仕組みです。企画と開発には先行費用がかかり、ここでもファクタリングに頼りました。今は導入企業の反応を見ているところです。
営業担当は「紙とデジタルを併せれば売上が読める」と期待を膨らまし、現場のオペレーターも可変データ印刷のノウハウを学びながら前向きに動いています。受注が増えれば資金繰りに余裕が生まれ、半年後にはファクタリングを縮小できる見込みです。
市場は縮小し、競合は強大です。それでも紙に触れる安心感や一瞬で届く情報の力は、まだ消えていません。今はただ、目の前のロール紙を回し続けながら、紙とWEBの境目を溶かす新しい価値を形にしていきます。ファクタリングはその時間を買うための道具にすぎません。近い将来、手数料に頼らずとも回せる日常を取り戻し、印刷の可能性をもう一度証明したいと願っています。
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