奈良県 建築業 創業26年
注文住宅を請け負って、十数年が経っていました。以前は余裕のある中流層の家庭が顧客の中心でしたが、ウッドショック以降、状況が一変しました。建材価格は高止まりしたままで、ローコスト住宅との競争が激化しました。うちは昔から紹介や口コミに頼っていたため、派手な広告を打つようなことはしておらず、その差が大きく表れていました。しかし単価は削れません。材料費が上がっても、私達の様な業者は質を落とすわけにはいきません。
また、人件費も高騰しており、現場の職人を減らせば施工の質が下がってしまいます。結果として、受注数は減り続けていました。
ようやく受けた工事も、支払いサイトが長期化していて、先に支払うべき材料費や職人の手当が重くのしかかっていました。
そんな中、ある施主からの紹介でまとまった案件をいただきましたが、材料の先払いが求められていました。普段なら断っていた内容でしたが、仕事の流れを絶やすわけにはいかず、何とか資金を用意する必要がありました。銀行にも相談しましたが、審査に時間がかかるとのことで間に合いませんでした。ビジネスローンも検討しましたが、金利と返済条件に不安がありました。
どうすればよいか悩んでいたとき、知人からファクタリングという方法を聞きました。すぐに調べ、ある業者に連絡を取りました。必要な書類をそろえて送ると、翌日には指定の口座に資金が振り込まれていました。スピードの早さに驚きました。確かに手数料は安くはありませんでしたが、それでも目先の支払いを滞らせることなく済ませることができました。現場は予定通りに動き、工期を守って施主に引き渡すことができました。完成後には施主から新たな紹介もあり、ほっとした気持ちになりました。それ以来、資金繰りが苦しい時期には、定期的にファクタリングを利用するようになりました。
慢性的なキャッシュ不足が解決されたわけではありませんでしたが、倒れてしまうような危機を回避する手段として、大きな意味がありました。
このままで良いとは思っていません。広告戦略の見直し、経費の精査、効率化による利益の確保など、取り組むべきことは多くあります。それでも、あのときのファクタリングがなければ、いま仕事を続けていることはありませんでした。あの決断は間違いではなかったと、今はそう思っています。
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